1999年・スペイン
監督/マテオ・ヒル
出演/エドゥアルド・ノリエガ

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シモンは小説家だが、
最近の仕事はもっぱら新聞のクロスワード作り。
ある日、クロスワードに「敵対者」の言葉を入れろと
何者かに脅迫され・・・
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これ・・・本当に1999年製作?
なんかさ・・・映像もストーリーも何もかもが古くさい印象。

シモンはクロスワードを作っているのだけど
これがスペイン語だから(当たり前だが)
全然ピンとこない。

謎の脅迫者に見張られたり、盗聴されたりする挙句、
オモチャのレーザー銃みたいなので
公衆の面前でピロピロ撃ち合うシモンと謎の一行。
こりゃ〜なんじゃ〜。
しかも謎の御一行は、シモンにある程度撃たれると
ダメージをうけたつもりなのか、立ち止まる(笑)
大の男が街中で、オモチャの銃でピロピロ撃ち合うという
設定自体かなりイカレている(笑)

かなり唐突に事件が始まり、
あまりにも独創的なシーンあり。
それでいて緩慢な進行。

「・・・なんだかなぁ〜」というのが正直な感想。
2000年・仏
監督/オリヴィエ・メガトン
出演/パトリック・フォンタナ

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連続殺人の容疑で逮捕され、
精神病院に監禁されていたスタン。
彼を無実だと信じた主治医の働きで退院するが、
それと同時に残虐な殺人が次々と起こり・・・
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美しくオッシャレーな映像。
やはりおフランスならではなのか・・・。

ジャケットにもなっている
顔の見えない赤い服の男。これは一体誰なのか?

本作品はこのジャケットを見たときから監督のしかけたゲームが
すでに始まっている。
この男の正体は?
スタンは無実?
誰が真犯人なのか?

登場人物それぞれが怪しく思え、頭はフル回転。
犯人はこいつか?いや、違うな・・・と
確信したり、悩んだり。

ラストに赤い服の男の顔が映されて
初めて観客はこの「ゲーム」に踊らされている駒に
すぎないことを思いさらされる。
この「ゲーム」には初めから出口なんてない。

大抵の場合、こういったラストはあまり好きじゃない蛍風だが、
本作品は腹をたてることもなく、
「やられたーーー」っと脱帽。
美しく、テンポの良い映像のせいかもしれない。

DVDに収録されているメイキングもオッシャレー。
インタビューなしで撮影風景や、
街の様子を集めただけなのだが、
たま〜にある「撮りっぱなし、収録しただけ」のものとは違い、
音楽にあわせた編集が良い。
さすがミュージック・クリップを手がけていた監督の作品。

フレンチサスペンスらしい作品。
2001年・米
監督/アラン・アーカッシュ
   デービッド・グロス
出演/マーティン・ショート

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女好きのジョン王子。
妻となる隣国の王女に会いにいったものの
やはり他の女に目がくらみ、
それがバレて蛙にされてしまう。
「乙女の真実の愛とキス」だけが魔法を解くのだが・・・
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最近流行り(?)のホールマークの作品。
ホールマーク社はテレフューチャーながら、お金をかけたSFXと
名の知れた役者を使ってファミリー向け作品がウリ。

『モンキー・キング西遊記』や『ユニコーン』など
なかなかの高回転ブリなので、
七夕にあやかって、らぶ〜な本作品を観ることに。
いや、目当てはマーティン・ショートなんだけどね(笑)

女好きでモテモテのジョン王子。
コマシってやつですな(笑)
魔法を解くには乙女のキスと聞いて、そりゃ楽勝と思ったものの、
カエルになった彼には乙女がキスするどころか、
気づいてもらえないありさま。
こんな筈じゃなかったよな〜と思いながら500年経ってしまう。
城を観光にきたワルガキに捕まえられ、
そのままNYにつれてこられ・・・というお話。

童話の「カエルの王子様」を現代のNYを舞台にアレンジした作品。

童話をアレンジして500年もキスをしてもらえない王子というから
てっきりマーティン・ショートが王子様かと思ったら
ショートは従者・ロドニーだった。
・・・ちょっと誤算。
それでも時代錯誤な王子と従者が繰り広げる騒動は笑える。
カエルだって、おめめがクリクリしてミョーにカワイイ。
年増女優マーゴのネタも大人にも笑える。
それでいてドギツクなく、健全なファミリー作品。

たしかに映画だったら、物足りないと思うかもしれないが、
テレビでこのレベルの作品を作るってのは
アメリカってスゴイと思う。

大感動というわけにはいかないが、
大人でもそこそこ楽しめる。
ファミリーでほのぼのと笑える作品。
2000年・米
監督/クリストファー・ノーラン
出演/ガイ・ピアース

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ある夜、レナードの家に何者かが押し入り、
妻をレイプした挙句に殺害する。
事件のショックでレナードは10分しか記憶を保てなくなった。
それでも犯人に復讐すべく、犯人探しをするレナードだが・・・
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10分しか記憶が保てない〜?!
それじゃジャンプ一冊あれば一生楽しめるじゃないか!(笑)
食事しても、食べたこと忘れるじゃないか?!
「嫁はワシに食事させないんだよ〜」・・ってボケ老人か?!(笑)

この作品を観るまでは、茶化していた蛍風だが、
これはスゴイ作品。
衝撃を受けたって感じ。

10分間しか記憶が保てないレナード。
よって、ストーリーは10分間の彼の行動を疑似体験するように
10分刻みで展開される。
しかも、現在から始まり、過去にさかのぼっていく構成になっている。
こういうスタイルの作品は初めて。

10分間しか記憶が保てないレナード。
前の日に会った人間も忘れてしまう。
「こいつは誰だ?」
そりゃこっちが知りたいよ(笑)

出てくる人間が誰なのか、どういう関係なのか分からないから
とても頭をつかう作品。
ラストも衝撃的。
「覚えているかどうかなんて問題じゃない。
復讐することに意味があるんだ」というレナード。

心の闇、欺瞞、偽善、
世の中は経験して記憶していることがすべてではない。
目にみえないもの、気づかないものが沢山ある。
洪水のような情報のなかで取捨選択の日々。
しかし、何を選ぶかは記憶が指針となる場合が多い。
その指針を失ったレナード。
必死に犯人探しをする姿は哀れに思えてくる。

DVDでは時間軸に沿って再生されるモードがある。
本編を観終わったあとで、
この時間軸に沿って展開されるストーリーを観れば、
エディがジャガーにこだわる意図、
警察の報告書に線が引かれていた訳などが
はっきりと分かりやすくなっている。
この作品のすごいところは、時間軸に沿った展開でも
充分に楽しめるということ。
それでいて、同じ作品なのに、時間の展開が違うだけで
作品の印象も随分とかわる。

一粒でも2度美味しいグリコのような作品(笑)
2000年・米
監督/チャールズ・ラッセル
出演/キム・ベイシンガー
   クリスティーナ・リッチ

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ある夜、看護婦マギーのもとに
音信不通だった妹が赤ん坊をつれて突然訪ねてきた。
妹は赤ん坊を置き去りにし、
マギーがその赤ん坊・コーディを育てることに。
それから6年後、同じ誕生日の子供が次々と殺されて・・・
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キム・ベイシンガーがこのテの作品に出ているとは驚き。
キム様は相変わらずお美しく、それでいて母性あふれる演技。
ネズミに襲われるシーンでも、キム様だとなにやら荘厳な感じがする(笑)

クリスティーナ・リッチがちょっとだけ出演。
しかし、おいしい役をやっているクリスティーナ。
クリスティーナは、オカルト・ホラームービーがほんと良く似合う。
彼女が出てきただけで、画面に緊張感が走る。
欲をだしたりして文芸モノにはしらず、
ずっとこのテの作品に出て欲しい女優である。

ストーリーはよくある悪魔崇拝モノだが、
無理なく手堅い進行で、一気に観れた。
そしてキム様のとまどいの表情が美しい。
キム様の立ち向かう姿はエレガント。
キム様は・・・キム様はやっぱりお美しい〜!

このテの作品としてはまあまあよく出来た作品。
キム・ベイシンガーとクリスティーナ・リッチを
配役したことが勝因であろう。
1993年・米
監督/ウディ・アレン
出演/ダイアン・キートン

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ラリーとキャロルは最近倦怠気味の夫婦。
向かいの部屋の妻が心臓発作で急死したことから
キャロルは夫人の夫が殺害したのではと思い、
ウキウキと探偵ごっこを始める・・・
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アレンの作品を観るのは『結婚記念日』以来だから
かれこれ10年ぶりくらいかも。
当時、ハリウッド大作ものに食傷気味で、
アレンの小粋な作品に新鮮な感動を覚えた。
「アレン」モノというだけで安心して映画館に行った。
でも、なぜかいつの間にか観なくなったんだよね・・・なぜかしらん?
それでも『カイロの紫のバラ』は今でも蛍風の中では
トップクラスの作品。
ほんと、なんで10年間も観なかったんだろ・・・?

本作品もセリフとキャスティングで
「おっしゃれ〜」に仕上がっている。
派手なドンパチやこれ見よがしのCGがなく、
言葉と言葉の組み合わせの妙がもたらす上質。
大人のためのワンランク上の上質な、こじゃれた作品。
うわぁ〜、上手く表現できなくてもどかしいが、
とにかく、日常の何気ない会話の1つ1つが良い。

ダイアンのファッションは観ていてちょっと照れくさかった。
いや〜、あの当時は(蛍風を含めて)だいたいみんな
あんな格好をしていたんですよ(笑)
ちょっと肩幅広めのジャケットにウエストマークのベルト、
そしてミニスカートにソックス!
当時の自分を思い出して、懐かしいやら恥かしいやら・・・(笑)

派手さはないものの「クスクスッ」とした笑いが
詰まった作品。
1998年・米
監督/スティーブ・マイナー
出演/ジェイミー・リー・カーチス

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あのハロウィン事件から20年。
マイケルはまたもやローリーの前に現れた・・・
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『ハロウィン』から20年経ったのを機会に製作されたとのこと。
この作品でデビューしたカーチスも芸歴20年ということになる。

しかしね、しかしね、この『ハロウィンH20』は
『ハロウィン』の続編として製作されたそうな。
たしかに続編『ブギーマン』はともかく、シリーズを重ねるごとに
作品があらぬ方向へと向かって行ったが、
ハロウィンの続編として位置付けられてこの作品が作られたってのは
『ブギーマン』から『ハロウィン6』まで、なかったことにしようって訳?
それじゃあ、今まで1人で頑張ってきたプレザンスの立場は
ど〜なるんかしらん・・・。

プレザンスは生前「22作目までは出る」と言ってたらしい。
もし生きていたら、このH20にも出演していたんだろうな・・・。

期待していたカーチスの絶叫は、ほんのちょっとだけ。
20年もたてば、ただキャーキャー逃げ回る設定には
満足できなかったのか、
この作品ではマイケルに逆襲している。
これはカーチスの希望らしい。
対決したかったのね、カーチスさん。

カーチスの息子役でジョシュ・ハートネットが出演。
2人は顔の輪郭がなんとなく似ている。

親子といえば、カーチスの実の母親ジャネット・リーも出演。
彼女のシーンでは「サイコ」を意識させるもので
そんな遊び心が楽しい。

一旦シリーズをリセットした形の本作品は
カーペンターを彷彿とさせる緊張感。
第3作から6作目までのシリーズものによくある
「作れば作るほど、1作目から遠くなる」感じも好きだったけどね(笑)

1作目をふまえた演出は手堅く、それでいて遊び心を感じる。
まあよくできたホラームービーだと思う。
しかし1998年製作のものがなんで今頃リリースされたのかは謎。
1978年・米
監督/ジョン・カーペンター
出演/ドナルド・プレザンス
   ジェイミー・リー・カーチス

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1963年のハロウィンの夜、
マイケルは包丁で姉を刺し殺した。
15年後、彼は精神病院を脱走し実家に戻り、
またしてもハロウィンの夜に次々と殺人を・・・
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『ハロウィンH20』がリリースされたので
その第1作を観ることに。

理由もなく人をつけまわし殺す変質者のお話。
今で言うところのストーカ?

この作品はホラーの代表作になっているが、
今ではホラーというより、サスペンス色が強い作品に分類されるかも。
ただ、その緊張感に満ちた作風は、さすがカーペンター!
音楽もカーペンターが担当している。
この『ハロウィン』の音楽は今や定番になってるし、
才能あるね〜。すごいや。

主演のジェイミー・リー・カーチスも
スクリーミングクイーンの名にふさわしく
めちゃくちゃ「叫び」が上手い!

『ハロウィン』シリーズは『H20』を含めると
7作あるのだが、
シリーズ全部そろっているお店は少ない。
蛍風の店でも無い巻がある。
古いし、廃盤になってたりで仕方がないっか・・・。
『H20』のリリースを機にシリーズ全巻発売を
期待したいところ。
2001年・米
監督/リドリー・スコット
出演/アンソニー・ホプキンス
   ジュリアン・ムーア

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ハンニバル・レクターの逃亡劇から10年。
今やベテラン捜査官になったクラリスは
ある事件の失敗から窮地に立たされていた。
そんな彼女にレクターに復讐しようとしている
大富豪ヴァージャーが目をつけ・・・
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面白くない、つまんねぇ〜と蛍風の周りでは評判のよろしくなかった作品。
しかし、蛍風としては合格点の作品でしたわ。

重厚で格調お高い画面。
クラリス役のジュリアンも知的でありながら
この画風に合った色気をかもしだしている。
似合ってるよ、ジュリアン。

「全然怖くないから面白くなかった」
「気持ち悪くて面白くなかった」という意見があったが、
何故にこの作品に怖さ、そして逆にのほほ〜んを求めるのだろうか?!
気持ち悪さを期待するなら、フルチとかアルジェントを、
のほほ〜んとしたいならチャイルドムービーでも観ればいいのに・・・。

蛍風が前作「ヒツチン」にひきこまれた理由は
鉄格子越しにレクターとクラリスの指が触れるシーン。
あのプラトニックな関係にゾクゾクしたから。
お互い声にはしないけど、心のなかでは憎めない存在の2人。
決して結ばれることのない2人・・・いや〜ん素敵だわ〜(笑)

そして本作ではクラリスの窮地を助けるレクター。
ゴージャスなドレスまで買ってあげるレクター。
・・・ん?お、王子様か?!おまけにキスまでしちゃって。
髪の毛をふわ〜っと触る程度で押さえておけばよかったのに
キスなんかしちゃったらプラトニックにならないじゃないか!
プラトニックな危うい関係が魅力の2人なんだから
キスしちゃいかん!心の繋がりだけで我慢なさい!

それから敵キャラ・ヴァージャーも不満が残るところ。
レクターの仇役ならもっと・・こう・・なんというか
ドルフ・ラングレンのように力で押しこむタイプが良かったな。
ヴァージャーが車椅子でカクカクしてるのを観て
「キャッツ&ドッグス」のMr.ティンクルズの飼い主メイソンを
思い出してしまったよ・・・。

この作品「ハンニバル」は作者トマス・ハリスが
映画「ヒツチン」のジョディーを観て
いたく気に入り、ジョディーを念頭に書いた話らしい。
だから「ハンニバル」は小説の「ヒツチン」ではなく、
映画版「ヒツチン」の続編といったほうがいいらしい。
で、ジョディーにあ〜んなことしたい、
ジョディーとこ〜んなことしたいと書いた話だとかいう噂が・・・。
真偽はともかく、もしそうだったらジョディーとしては
やってらんないわって思うだろうな〜。
中坊が君と僕の愛のおハナシ書いたから読んでよ〜と
言ってるようなもんだ(笑)

シックで重厚な映像。
ヒロインを助けに現れたヒーローとの愛の形を描いた作品と思えば、
特に問題のない作品。
2000年・米
監督/サム・ライミ
出演/ケイト・ブランシェット
   キアヌ・リーブス

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神様から与えられた人の運命を見抜く力=ギフトを
持つアニーは、占いをしながら3人の息子と細々と暮らしていた。
ある日、町の有力者の娘が失踪し、
カードで手がかりを見るように言われたアニーは・・・
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誰が犯人なのか最後まで分からない。
それぞれが動機があるように思えて
ラストまで目が離せなかった。

超常現象シーンはさすがサム・ライミといった感じ。

しかしこの作品でとても印象深いのが
キアヌ・リーブスの演技。
「この人こんなに上手かったっけ?」と唸ってしまうほど
暴力亭主を見事に演じている。
上手く表現できないが「見事な脇役」である。
強烈でありながら、しかし主役をくってしまわない程度の
その微妙な存在感。

よくぞこれだけ芸達者が集まったものだと
感心してしまう作品。

面白かったです。
1982年・米
監督/フランク・ヘネンロッター
出演/ケビン・ヴァン・ヘントリック

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シャム双生児のベリアルとドゥエイン。
自分達を無理やり切り離した医者達に復讐する為、
兄のベリアルをバスケットケースにいれ、
NYにやってきたドゥエインだが・・・
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なんじゃこりゃ〜とツッコミをいれて楽しめる作品。
弟ドゥエインが夜のNYを全裸で疾走する
サービスシーン(?)もある(笑)

切り離された兄のベリアルの体は骨がない肉の塊という設定。
それなのにちゃんと歯がある、目がある、
おまけに超能力まである。
切り離されるシーンはまさに「カポッ」と分離される。
「カポッ」と切り離されたベリアルは空洞っぽいのだ(笑)

そのベリアルは術後ゴミ袋にいれて捨てられるのだが、
ゴミ袋がモゾモゾと動いて助けを求める。
フツー死んでいるんじゃない?(笑)

肉の塊のお兄ちゃんは普通の体の弟ドゥエインに
彼女ができると嫉妬して、超能力で弟を苦しめる。
嫉妬するだけじゃなく性欲もあるようで、
同じホテルのおばさんの部屋に忍び込み、
おばさんの真っ赤な下着を盗む。
手に取り恍惚とするベリアル(笑)
このベリアルの動きは「カクカクッ」としたコマ撮り(笑)
ミルミルの初期のCMを思い出してしまったよ。

肉の塊で性欲もあるお兄ちゃんはついに弟の彼女の部屋に侵入し
なんとレイプした挙句に殺してしまう。
・・・レイプって・・・ツイてたんだ・・・
「空洞でカポッ」の体のどこにツイてたんだ・・・?

恋人を殺された弟は失意のあまり兄を抱えて飛び降り自殺。
兄弟無理心中でこの作品はラストとなる。

普通の体の弟に羨望し嫉妬する兄、
兄を大切に思いながらも自分の人生を生きられない弟。
「カクカクッ」としたコマ撮りの画面の中にも
悲しげな思いが根底に流れる。
ツッコミをいれて笑うだけではなく、哀れさが漂う作品。

ちなみに続編では実は2人は一命をとりとめて
弟には新しい恋人ができ、兄も同じような肉の塊の彼女ができるらしい。
ところが弟の恋人は昔の自分と同じく
わき腹に肉の塊の姉妹がくっついていて
ショックをうけた弟は、昔のように兄ベリアルを自分の体に
くっつけるそうだ。
・・・それって話がもとに戻ったということ?
じゃ1作目は何だったの〜?(笑)
残念ながらウチの店にはこの続編が置いていない。
取り寄せることも出来なかった。
う〜っ続編も観たいよ〜!!!
1994年・米
監督/ゲーリー・ジョーンズ
出演/ガンナー・ハンセン

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アメリカの国立公園の沼に宇宙船が落下した。
沼に繁殖していたボウフラは宇宙人の血を吸って
巨大な蚊になった・・・
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やす〜い昆虫パニックモノだが、
ドロドロと気色悪さを売りにせず、
作っている本人達がその安さを分かった上で
笑わせようとしている作品。

国立公園に転職する彼女を送る途中の車中のカップル。
突然「何か」をひき殺してしまう。
あら何かしら〜?鳥かしら〜?大きな昆虫みたいね〜と
そのまま何事もなかったかのように走り去る。

な、な、なんだ〜!
動物ひき殺したら普通は動揺するんじゃない?
犬をひいて路肩でショックのあまり蹲っている人見たことあるよ。
アメリカでは大した問題じゃないのかな?

テントでエッチを済ませたばかりの男が外に出ている間に
「わざわざ」テントの入り口から入ってくる巨大蚊。
何も気づかない女が足を触られて
いや〜んウフフといってる間にプスッ。

巨大蚊が大群で向かってきているのに何も気づかないキャンプ客。
普通の蚊の音でも気になるのに巨大蚊の音に気づかないのか?!

銃で撃ち殺し、弾が残り少なくなったところでやっと
火で追い払う主人公たち。

軍の仕事で隕石を探しに来ている博士。
巨大蚊が「隕石」と関係があると分かると
「隕石」調査もせずに巨大蚊もろとも隕石を爆破しようとする。
・・・おいおい それで仕事はいいのか〜?(笑)

いろいろとツッコミポイントがあるが一番の笑い所は
蚊に血を吸われまくっている被害者の顔が
みるみる萎びていき目玉が飛び出してくるところ。
なんとピンポン目玉がボロ〜ン!
いくら安くても1994年製作でピンポン目玉はないでしょう(笑)

昆虫パニックモノだが気色悪さは薄く、
笑えるツッコミポイントが結構ある。
ファミリー向けとは言えないが、
シャレのつもりでかる〜い感覚でどうぞ。
1999年・米
監督/ジョエル・シューマッカー
出演/ニコラス・ケイジ
   ホアキン・フェニックス

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私立探偵のトムは大富豪の未亡人から
夫が隠し持っていた8mmフィルムについて
依頼を受ける。
フィルムの真偽を確かめるトムだったが・・・
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今時スナッフ・フィルムがテーマ?と思ったが、
なかなかどうして緊張感溢れる良い作品だった。

「セブン」と同じ脚本家らしいが、
全編を通しての緊張感や善人が最後にはキレちゃうところは同じ。
ただの私立探偵が正義の粛清を行なっていいのかな・・・。

ホアキン・フェニックスは良かった。
昔は青春スターのお兄ちゃんとは違って
なんだかくら〜い感じがしただけだったが、
成長してその面立ちがダークな魅力に変化したみたいだ。
男の顔は歴史が作るって感じ。
もっと年を重ねれば、もっといい男になるかもしれない。
今後が楽しみな俳優の1人だ。

緊張感と絶望感、厭世感がただよう見ごたえのある作品。
2000年・米
監督/ターセム・シン
出演/ジェニファー・ロペス

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分裂症を患った少年の精神世界に入って
治療を試みるセラピストのキャサリン。
そんな彼女のもとに、昏睡状態になった
連続殺人犯のスターガーの「中」に入るように依頼がくる。
犯人しか知らない行方不明の女性の監禁場所を探るべく
キャサリンはスターガーの精神世界へ・・・
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数年前打ち切りになった深夜の海外ドラマで
これと似たようなのがあったっけ・・・。
ナイト・ウォーカーだかスリープ・ウォーカーとかいう名前で
人の夢のなかに入って、事件とか心の病を治す話。
面白くなってきたところで、放送しなくなり
続きはいつ放送するのかと期待していたら、
本国アメリカで2,3回放送したが視聴率が悪く打ち切り。
収録してあった回までをケーブルTVで放送してたのを
日本に持ち込んだというのが真相らしい。
そんな途中で終わるドラマなんか初めから放送しないでよ〜。
ホント、面白くなってきたところだったのに。

「ザ・セル」は薬と装置を使って人の脳の中に入っていくお話。
深層心理を覗いて治療する実験。
あの海外ドラマをみていたせいか、目新しい発想とは思えなかった。

それでも充分に見ごたえがあった。
映像が美しい。衣装が美しい。
映画というより舞台を見ているような感じを受けた。

この監督かなり凝り性のようだ。
冒頭の砂漠のシーンはわざわざナミビア砂漠で撮ったらしい。

この監督はなかなか悩むタイプらしい。
捜査官ノバックの人物設定に迷い、
彼のシーンはいろいろな演技のタイプを撮影したらしい。
ラストシーンも迷いに迷って、何タイプも撮ったらしい。
いつか完全版とか銘打ってビデオを出すかもしれない(笑)

この監督はかなり根にもつタイプのようだ。
監禁される被害者役の女優はオーディションでは
第2候補だったらしい。
この役は泳ぎが上手い女優を使いたかったが
第1候補は金槌。
第2候補に「泳げるかい?」と聞いたら
彼女は「ライフセーバーしてます」というから採用。
ところがこれは大嘘で実は泳げなかった。
ウソをついた彼女が許せなくて、
彼女のシーンは1ショットを除き、
すべて望遠でとったらしい。
とても近くで撮影する気になれなかったそうな。

現実離れした荘厳な衣装は
人の精神世界という別世界を見事に表現。
舞台チックな世界はおとぎばなしのようだ。
人の心の奥底はおとぎばなしの世界かもしれない。
たとえどんなにおぞましい世界でも
その人にとってはおとぎの世界なのだろう。
1999年・米
監督/クレイ・ボリス
出演/リック・ロソビッチ
   ウド・キアー

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パークランドは上流階級しか生活を許されない居住区域。
100歳を迎えるパークランドの実力者は、
早く新しい臓器を移植しなければ命が危ない。
そこで適合者である警官ジミーを罠に陥れ・・・
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近未来、経済が崩壊し中流がなくなり
上流階級と下層階級しかなくなるという設定は
なんだか本当に起こりえるかもしれない。

発売はアミューズ。
アミューズは良質な作品をだして
いつも安心して観るのだが、今回は
アミューズがSF?と、観る前は少し不安があった。

しかしながら、最近のハリウッドにありがちな
大袈裟なショットやCGもなく、
真相を暴こうとする警官の追い詰められるさま、
生に固執し続ける傲慢な上流層、
その下で働く部下やその恋人など
ひたすら精神面にスポットをあてた作品になっている。

実力者に恩義をかんじている部下は
違法だとしりつつもジョーを罠にはめ、
証拠のディスクのパスワードを
自分を善人と信じている恋人の名前にするあたりは
中間管理職の悲哀を感じさせる。
どこの国でもこのポジションは
板ばさみの連続でツライのね・・・。

もっと人物それぞれを深く掘り下げて欲しかった不満は残るものの
地味ながらも問題を提起させる良質な作品。

今月の目標「SFとラブストーリーを観る」だが、
SFはこれで3本連続となった。
SFに関しては一応目標達成のレベルに近づいた。
毎度の事だがラブストーリーはまだ1本も
観ていない。
そろそろ観ておかないとまずいなぁ〜。
2000年・米
監督/ティム・バートン
出演/マーク・ウォールバーグ
   ティム・ロス

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宇宙飛行士が不時着した惑星は
なんと猿が人間を支配する星だった・・・。
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内覧用サンプルビデオで観た。
レンタル開始は12/17から。

子供の頃、「猿惑」を観て、これはすごい映画だと思った。
リメイクする話を聞いた時、あの完璧な映画を
どうやってリメイクするの?と思った。
内容は勿論のこと、お猿さんのメーキャップも完璧だったから。
当時のお猿さんメイクは、今でも充分に通用すると思っている。

バートンが自ら語っているように、これはリメイクではなく、
リ・イマジネーション(再創造)である。
単なるリメイクではとうていオリジナルにかなわないだろう。

オリジナルが学のある人間と猿の科学者がうんちくを述べ合い、
「こいつは他の奴と違う」と認め合うのに対し、
本作の猿は「動物愛護者(人間愛護猿か?)」で、
主人公の宇宙飛行士と他の人間もたいして差がない。
全体的に前作がSFだったのに対し、
こちらはエンターテイメント色が強いものになっている。

ちょっとショックだったのは惑星の人間が言葉を喋ること。
このことが主人公の特異性を薄め、
SFではなくヒーローものになった最大の原因だと思う。

とはいえ主人公と人間の女と猿のお嬢さんの
三角関係を思わせるシーンやにクスっと笑ったり、
皮肉っぽい笑い、ダークな色調など
バートンらしい作品になっている。

話題になったラストシーンだが、私はあれはあれでいいと思う。
・・・というか、オリジナルのラストは映画史上に残る傑作ゆえ、
誰が作ってもどうにもならないと思う。

バートンの猿惑は若年層にはウケたらしい。
オリジナルを知っている世代には、
オリジナル猿惑が強烈な印象となっている為、不評だとか・・・。
年齢リトマス試験紙のような作品だ(笑)

私はやはりバートン版を観て、オリジナルが傑作だと再確認した。
あぁ〜、やっぱり若くないのね。
1989年・米
監督/デビッド・オデル
出演/ランディ・クエイド
   マーガレット・コリン

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ある日突然、10億人の火星人が地球におしかけてきた、
火星人はテレパシーとテレポートを駆使して
地球人をパニックに陥れる・・・
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久々にしょ〜もない作品を観たという思いが強い。

神出鬼没の火星人は人の秘密をベラベラと話して
地球人を困らせる。
一応火星人はみんなコメディアンという設定らしいが、
笑えないのである・・・。

こいういB級作品は、たいていつっこみをいれて楽しむのだが、
この作品に関しては、つっこみもいれらない・・・。

なんか学生の映研が作ったみたいなノリで、
「映画つくろうぜ〜」という若き情熱が感じられる反面、
「とりあえず何か作って間に合わせようぜ〜」という
ユルさも感じられる。

大作でもない、傑作でもない、
ツッコミをいれて楽しむ愛すべき作品でもない。
こういうのは、観ていてかなりツライ。
時間を無駄にしてしまったようで
茫然自失、何にもしたくない・・・。

ま、何にも観るものがなければどうぞ、
お勧めはしませんが・・・。
2000年・仏
監督/マチュー・カソヴィッツ
出演/ジャン・レノ

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アルプス山脈の山中で死体が発見された。
胎児の形に縛られ、眼球と両手が切断された死体だ。
そして同時期に別の村で昔事故で死んだ
少女の墓が荒らされる事件が発生していた・・・
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金かけてまっせ〜って感じの作品。

死体は本物の人間かと思いきや、
なんとすべてシリコン製の作り物と知って愕然!
青い血管の浮き出方とか肌の質感、傷の湿り気などが
とても作り物とは思えないほどスゴイ!!
B級スプラッタの
「血のり どば〜ん ただそれだけよ」なモノ(笑)を
見なれていただけに衝撃をうけた。

単に役者にメイクして終わらせずに
わざわざシリコンで死体を作るところに
監督のこだわりと豊富な資金の存在を
うかがうことができる。

ジャン・ピエール・カッセルの死体を見つめる
ヴァンサン・カッセルのシーンは少し笑えた。
だってヴァンサンの顔ってば、お父さんとそっくりなんだもん(笑)

ロケーションも孤立した印象をうける山里で、
いかにもヒッソリとなにやらやっていそうでGOOD!

建築様式やインテリアなど、ストーリー展開のヒントが
散りばめられている。

作品全体として従来のフランス映画っぽくない。
一番分かりやすいのが音楽だが、
フランス映画というよりハリウッド的な作品。
お金もそーとーかけてるしね(笑)

「ザ・ウォッチャー」と同じ時期にレンタル開始した作品だが、
こちらは「ザ・ウォッチャー」ほど注目されなかった。
しかし、とても面白く、なんといっても死体は一見の価値アリ。
レンタル開始時期をずらした方が、
もっと話題になった作品かもしれない。

「ザ・ウォッチャー」見るなら、
こちらのほうを、ぜひお薦めしたい。
1969年・イタリア/西ドイツ
監督/ダリオ・アルジェント
出演/トニー・ムサンテ
   スージー・ケンドール

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画廊で男女がもみあいの末、女性が刺されてしまうのを
目撃した米国人サム。
そのことがきっかけで、女性連続殺人事件に巻き込まれていく・・・
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作品を観終わってまず
真面目に作ってるなぁ〜と思った。
監督デビュー作とはいえ、ダリオ・アルジェントだから
変な作品かと思っていたが、ちゃんとした作品だった。

しかしながらツッコミをいれたくなる部分も
しっかりある。良かった(笑)

事件を目撃したサム、警察に連続女性殺人事件の犯人と疑われる。
いくら証拠が少ない事件だからといって、
目撃者=犯人と結び付ける警察もなんだけど、
このサムも
「何か気になる事を見たんだ。でも忘れてしまった」という始末。
そんなことをいうから警察も疑うんじゃないかい?
意外にもあっさり容疑が晴れて、
アメリカにすぐに帰ればいいものを
犯人を突きとめてやる〜と探偵ごっこをはじめるサム。
少しずつ犯人に近づいてくサムに警察は
「手助けが必要な時は遠慮無く言ってくれ」
おいおい〜、犯人を捕まえるのは警察の仕事でしょ〜(笑)

1枚の絵が事件の手がかりになるんだけど、
これってアルジェント監督の他の作品に
似たような話があったような・・・。

恐るべしダリオ・アルジェント!
2000年・米
監督/ジョー・シャルバニック
出演/キアヌ・リーブス
   ジェームズ・スペイダー

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シカゴで孤独な女性ばかり狙う連続殺人が発生。
犯人はFBI捜査官ジョエルに、これから狙う女性の写真を
送りつけてきた。
その犯人こそジョエルがロスにいたとき
あと1歩のところで逃してしまった犯人だった・・・
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監督:今度映画撮るから、出てくんねぇかなぁ〜
キアヌ:おうっ いいぜ!

なんて言ったかどうか知らないけど、友人のシャルバニックの話に
気軽にOKしたキアヌ。
カメオ出演くらいに思って快諾したのが、
主要な役になって激怒したとか・・・。

特に新鮮味のないストーリー。

最近には珍しいあっさりとしたラストは
「キアヌだから」何かやってくれそうという期待を
見事に裏切る。
キアヌのそっくりさんだと思えば、
この「あっさりラスト」もOKなんだけど(笑)

予算がないのか、時間が無かったのか
あまりにも上っ面だけなぞったような作品。
犯人役をキアヌにしなければ、見えない犯人に翻弄される
ジェームズ・スペイダーの苦悩がもっと描けたかもしれない。
ヘタにキアヌというスターを持って来たが為に
ストーリー性よりも話題性を重視してしまった作品。
キアヌが相手じゃなかったら、
もっとスペイダーの場面が多かったかもしれない。

それにしてもジェームズ・スペイダーを見るたびに
「安い」と感じてしまう。
すごいハンサムでもなければ、ブ男でもない彼。
なかなかの演技をしても、なぜか「安い」印象を受ける。
名前を呟いてみる。
ジェームズ・スペイダー
ジェームズ・スペイダー
ジェームズ・スペイダー・・・
着色料が入った駄菓子とか
高速のサービス・エリアの具なしヤキソバを連想する。
自分でもなぜだか分からないが、彼を見るたびにそんな
チープな思いでいっぱいになるのだ。
なぜなんだろう・・・?

キアヌの殺人犯ということで興行的にはヒットした作品だが
内容的には凡庸。
作品の質云々よりも興行成績を優先した結果か?
「成功」は何を指すのだろうか?
賞をとるような作品か?
それともお金を稼ぎ出す作品か?
もし監督が後者の考えであれば、
初監督作にして成功を収めたことになるのだろう。
かなり野心的な監督である。
何年かは「ヒット作 ザ・ウォッチャーの監督」で
食べていけるだろう。

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