2005年・日

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立つことで一躍全国の人気者になった
レッサーパンダの風太くん。
風太くん以外にも全国には
立つ動物がたくさんいた・・・
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なんとも愛らしいレッサーパンダの風太くん。
風太くんをメインに、その他の立つどうぶつをあつめた作品。

風太くん以外の動物のシーンは、
ほどんどナレーションがない。
しかも、何と言う動物なのか説明字幕もない。
次ぎから次ぎへと、たら〜んと動物園らしき場所の動物が・・・。

こんなので、子供は飽きたりしないのかな・・・。
逆に子供には余計な説明は無用で、
こういうのが楽しいのかな・・・?

で、「立つ動物」ということだが、
プレリードッグやワオキツネザルは分かる。
でもペンギンやフラミンゴってのはアリなワケ?(笑)
それもまだ良い方で牛やヤギってのは・・・
四足でも「立つ」って範疇なんですかい?(笑)

あ〜、これがいわゆる情操教育なのかしらんと思っていると
再び風太くんの話題。

風太くんのお父さんは風太くんが生まれる前に死にました
現在、風太くんのお母さんナラのお腹には
新しい旦那さんの子供がいます


えっ、えーーーーっ!
最近は子供向けのものでも、こんなこと言うんですかい?
単に「お母さんのお腹には、赤ちゃんがいます」で
済まされそうなのに。
うむむ〜、
離婚・再婚の多い、現代の社会事情を
反映しているのでしょうか?(笑)

風太くんは、他のレッサーパンダに比べて
太くて見事な尻尾をしている。
それが立つことを可能にしたんだろうか?

風太くんの愛らしさに癒される
何でもアリの構成
子供向けらしからぬ、衝撃のナレーション


いや〜、時代は変わったんですな・・・(笑)
1974年・日
監督/野村 芳太郎
出演/丹波 哲郎
   森田 健作

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国鉄蒲田操車場構内で死体が発見された。
被害者の身元を示すものは何も無く
捜査は困難を極めるが
事件前日、被害者が若い男とバーであっていて
東北弁で「かめだ」という言葉を交わしていたことから
東北地方の「かめだ」という場所を探すのだが・・・
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松本清張原作の映画化。

身元不明の他殺体。
被害者が事件前日バーで会っていた男と
東北弁で「かめだ」という言葉を交わしていたことから
刑事の今西と吉村は秋田県の亀田まで
調べにいくが何の成果もなかった。
しかし調べを進めるうちに、東北弁と良く似たなまりを使う土地が
島根県にあり、そこには「かめだけ」という土地があった・・・

被害者の身元も分からないまま、事件の真相を追って
秋田から島根まで捜査する刑事。
今西刑事役が丹波哲郎
その迫力と圧倒的存在感で画面をぐいぐい引っ張る。
若き刑事・吉村役がが森田健作
いや〜、やっぱり若い!熱血感あふれるぴったりの役所!

物語は殺人事件の犯人を追うサスペンスから
次第に、親子の情愛・社会事情と辛く哀しいものへと変化する。

そしてクライマックスの若き作曲家・和賀英良の奏でる
「宿命」にのせて描かれる真実・・・。

和賀英良役に加藤剛
元浦千代吉役の加藤嘉
三木役の緒方拳
そして丹波と森田
それぞれが当時のイメージとピッタリの
期待を裏切らない納得の演技!


芥川也寸志の重厚な音楽をバックに
生きることの意味、生き続けることの意味
そして人間の情について深く考えさせられた作品

人間の業と愛、そして運命にただただ圧倒された。

すばらしかったデス。
2005年・日
監督/村上 正典
出演/山田 孝之

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秋葉系ヲタク青年が電車の中で
よっぱらいにからまれた
お嬢様風美女を助けたところ
お礼にエルメスのティーカップが送られてきて・・・
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この劇場版だけでなくTV版もレンタル好調な『電車男』

サエない「電車男」が、初めは単なる勢いだけだったかもしれないが
勇気を出して、「エルメス」というお嬢様美女と心を通わせていく。

勇気をだして1歩踏み出せば
今までの生活や出会いとは違う道があるかもしれないよ、
そんなことを教えてくれる作品。

電車男役の山田孝之の純朴さ
エルメス役の中谷美紀の控えめで清楚な美しさ。
キャストもストーリーもギラついたところがなく
ほのぼのとした中でおきている
「ちょっとエキサイティング」な日常の出来事。

ラストにTV版のキャストがでていたり、と遊び心もある。

電車男をはじめ、登場人物全員が、あったかい。
世間ってどうよ?まんざら捨てたもんじゃないでしょ?
そんな勇気と元気と希望を与えてくれる作品。
1961年・日
監督/本多 猪四郎
出演/小泉 博
   フランキー堺

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南海の孤島インファント島で発見された
小美人を捕まえショーを開くネルソン。
小美人を島に帰すべきだと思う中條博士と新聞記者・福田だが
島の守護神モスラが小美人を連れ戻しに東京へと上陸し・・・
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モスラといえば、蛾みたいな怪獣で
ザ・ピーナッツの歌う♪モスラ〜〜の歌
(「や」がポイントね)
そしてザ・ピーナッツといえば、
片割れが沢田研二の元奥さん

そんなことしか覚えていない・・・(笑)

TVとかマンガ祭りかなんかで観た記憶はあるが
内容については、まったく覚えていなかった蛍風。

今回、改めて観ると・・・

いや〜、これはスゴイですな!
特撮のすごさ、素晴らしさといったら!!

特にまだ幼虫でイモ虫状態のモスラが海を泳いでるシーン!
ホント迫力満点で、えらいものが日本に向かってるって感じ。

地上で暴れまわるシーンもすごいが
東京タワーに糸を吐いて繭になったモスラの姿ときたら・・・!
どんな姿に変身するのかという恐怖と自然的な美しさと神秘さ!
現在のハリウッドのCGに
絶対に負けないクオリティの高さ!


ただ、ストーリー的には
ワリとツッコミいれて楽しめる部分もある(笑)
悪徳ネルソンに囚われの身となった小美人たち。
心配するスッポンの善ちゃんこと記者の福田たちに
島に帰りたい〜
でも私たちはモスラが迎えにきてくれるから大丈夫〜
だけど東京の人々には大変ね〜
などど
1歩間違えば高飛車なお嬢さん的発言をする。

予定通りモスラはあちこち破壊しまくりながら
小美人たちを無事確保し、島へと帰っていく。

それはまるで
「おらぁ〜、ウチの娘返さんかぃ〜っ」と
強面の親父が物を壊しながら迎えにくるようだ


なんかさ〜『モスラ』って
世間知らずのお金持ちお嬢様がチンピラにさらわれて、
一升瓶片手に腹巻き姿の暴力親父が迎えにくるみたいな話だね

こう話したら、
「モスラ見てそんな事想像するのは蛍風さんだけですよっ!」
と言われてしまった・・・。
そうか・・そうなんだ・・・(笑)

30年以上も前に作られた本作品は
現在でも充分に通用する迫力を持った特撮。
こんなにスゴイ特撮映画を撮った日本が誇らしく思えた作品

2005年・日
監督/滝田 洋二郎
出演/市川 染五郎
   宮沢 りえ

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中村座の役者・出雲は、かつて「鬼殺し」と
恐れられていた。
ある日、出雲は女盗賊のつばきと出会い
2人は恋に落ちるが、その恋はつばきが
鬼へと転生することになるのだった・・・
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今月はアメリカ以外の作品も意識して観ようと思ったのだが、
そう思えば思うほど、アメリカ作品を観てしまう。
これは昔からのクセ・・・。
試験があるから勉強しなければならないのに
そう思えば思うほど、別の教科に興味を持っちゃって現実逃避?(笑)
とりあえず、ここらでアメリカ以外の作品を観ようと決意して
選んだ作品。

本作品は舞台劇の映画化。

出雲役の染五郎の殺陣をはじめ、
ちょっと仕草・振るまいは美しい。
流し目なんか、まさに歌舞伎俳優!といったところ。

つばき役の宮沢りえちゃんも、
純粋で可愛らしい魅力をみせている。

冒頭の人を喰らう鬼を斬る鬼御門たちのシーンは
舞台のような照明に、派手な立ち回りでわくわくさせる。

ん〜、でも・・・。

派手なアクションシーンは、映画化には格好の材料とは思えるが
ストーリー的には、映画としては少々物足りなさを感じる。
シンプルなストーリーは、やはり舞台のほうが合うと思う。
それにクライマックスの出雲と阿修羅の戦い、
阿修羅の殺陣がサマになっていないため弱っちくみえて
染五郎が上手いだけに、なんじゃコリャって思っちゃって・・(笑)

悪役・邪空を演じる渡部篤郎の憎々しさぶりは良いのだが、
あっさりとしか描かれていないため、
ちんまい悪党になってしまっている。
渡部の演技が良かっただけに、もったいないと思う。

映像も美しいし、役者陣は良し、題材も良いとは思うのだが、
映画化するのであれば、
違うアプローチの仕方でも良かったと思った作品。
2001年・日
監督/三谷 幸喜
出演/八木 亜希子
   田中 直樹

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念願の一戸建てマイホームを
建築しようとする飯島夫婦。
しかしインテリアデザイナー・柳沢の設計に
昔かたぎの大工・長一郎は反発し・・・
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夢の新築一戸建てマイホーム。
妻・民子は大学の後輩で新進気鋭のインテリアデザイナー柳沢に
設計を依頼する。
柳沢が提案する家は、明るく開放的なアメリカンスタイル。
施工は民子の父である大工・長一郎が行なうことになったのだが、
長一郎は自分が理想とする丈夫な日本建築にこだわる。

プライドの高い柳沢、頑固な職人・長一郎。
1歩も譲らない二人の意見は平行線を辿るばかりだった・・・。

郊外とはいえ、広い庭付きの一戸建て。
しかも建売りじゃなく、注文住宅!
うひゃ〜、お金持ってますね・・・。
都内ならいくらかかることやら・・・。

若夫婦・・というより妻・民子がイニシアチブを持って
おしゃれな家を建てようとする。
しかし、設計者・施工者の意見が食い違い
初めの設計とはどんどん違うほうに・・・。

住人、設計者、施工者、家族・・・
そこに関わる者すべてが、それぞれの夢や理想をもって
自分の意見を通そうとする。

若夫婦の家、1つの家だが
そこには「みんな」の情熱と思いが沢山つまっている


柳沢役の唐沢利明、長一郎役の田中邦衛
この2人が上手いのはもちろんだが、
妻・民子役の八木亜希子自然が感じでよい。
夫・直介役の田中直樹
板ばさみ状態で悩む人の良いキャラで好感が持てる。

こだわりのバーテンダー・真田広之や中井貴一も
登場は少ないが強烈な印象を残している。

テンポの良い笑い、微妙な間、個性光るキャスト。

なにか物足りなさを感じるものの、
そこそこに楽しめた作品。
2004年・日
監督/筒井 武文
出演/柏原 収史

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人気バンド・ゼロデシベルの天才ギターリスト麻田弦は
自分の音楽を見失い始め、
バンドの解散説も囁かれるようになっていた。
そんな時、記者から逃げるために飛び乗ったタクシーで
「シモキタ」までと告げると、
なんと下北半島にまで連れて行かれた・・・
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天才ギタリスト麻田弦。
タクシーの運転手の五十嵐五郎に拉致されるかたちで
津軽三味線の修行をするハメに・・・。

修行はツライことばかりではない。
五郎の孫娘・晶に一目ぼれした弦は
彼女の気を惹こうと猛特訓に励む。

晶の幼馴染みでバツグンの三味線弾きの大石聖一郎や
かつて五郎の弟子で、
魂と引き換えに悪魔の音色を手に入れた
倉内宗之介たちとの三味線バトルが繰り広げられる。

倉内役新田弘志と大石役新田昌弘は実の親子。

この2人の三味線の音色は、素人の蛍風でも
「あ、ほかのと音が違う・・」と分かるほど
ゾクゾクする音色。

三味線といえばべんべんべべぇぇーん
力強い音を想像するが、
リルリルとそれは繊細な音色も出すものだと初めて知った。

んーっ!
三味線の音ってこんなにも複雑で
奥が深いものだったとは・・・!


ほどほどの笑いと、柏原収史の演技、
ストーリー展開もなかなか面白い。

しかし、アニメによる演出部分はなかったほうが良かったかも・・・

ストーリーとキャストの演技だけで
充分に納得できる仕上がりだったと思うのだが・・・

ストーリー、キャストの演技がGOOD
そして三味線の奥深い魅力を知った作品

「喜びマーク」作品です。
2003年・日
監督/石井 隆
出演/杉本 彩

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世界的なタンゴダンサーの遠山静子。
夫がヤクザに脅され、
金の代わりに身を売られてしまう。
彼女が連れていかれた場所は、
セレブ達が人には言えない己の欲求を満たす場所だった・・・
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2作目もリリースされ、かなりの高回転なので観てみたけど・・・

?????

美人でスタイルが良くて、社長夫人で
しかも世界的タンゴダンサーの静子


こりゃまたすごい設定ですな(笑)

で、杉本彩演じる静子が、
ワケが分からぬうちに監禁され、
辱めをうけるうちに官能の世界へと目覚めていく・・ってことかな?

杉本彩が得意のダンスで鍛えた
その柔らかな体とナイスなバディを惜しげもなくさらし
緊縛、スパンキング、蝋燭攻めに耐える。

しかしフツーのAVのSMモノのようなグロさはない。
決して汚らしい感じではなく、古めかしい感じすらする。
花魁とか博徒の設定だからかな?

仕事柄、ここには書いたことがないが、
たまにAVを観る機会がある。
フツーの、特にインディーズ系のSMモノはグロいの一言。
こういうの観て本当に楽しいのかしらん?と思ってしまう。

それに対して本作品は、どこか「古めかしい官能の世界」の印象で
例えて言うなら
襖の隙間から秘め事を覗き見している感じ
あるいは
文語体で書かれた官能小説を読んでいるような感じ

下卑た感じがしないのは、
ひとえに杉本彩の意気込みと度胸のたまものであろう。
田代役の石橋蓮司の演技も鬼気せまるものがあってスゴイ。

フツーのAVと同じ感覚で観るとつまらないらしい。
ストーリーとか説教くさい部分が邪魔らしい(笑)
かといって一般作品と同じ感覚で観ると
延々と責め悶える印象しか残らないらしい(笑)

AVでもなければ一般作品でもない。
女性でも見られる「官能エロス作品」と考えたい。

で、結局、物語のラストはどういう意味?
自分を売った夫を許せないという気持ち?
官能に目覚めてしまい、元には戻れないという事?
きっかけとなった夫の存在をリセットしたいとこと?
それとも単に冒頭に戻るという演出?

ん〜謎だ・・・。
謎だが、杉本彩に圧倒されて
そんなことはどうでもいいか、とも思ってしまう(笑)
杉本彩の度胸と意気込みに拍手を送りたい作品
2004年・日
監督/犬堂 一心 他
出演/中村 獅童

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広告代理店のプランナー山田は
ドッグフードのCMを担当することに。
しかし上司やクライアントの無茶な注文で
出来あがったCMは、当初のプランとは、まったく別ものに・・・
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人と犬の関係を11の短編で綴ったオムニバス。
でてくる犬も様々な犬種なら
ミュージカル、コメディー、アニメなど
それぞれの短編の表現もバラエティに富んでいる。

「ウチの子?1」(だったかな?)のミュージカルは最高!
口では相手のワンコを褒めつつも、
心の中ではやっぱりウチの子が一番カワイイ!と思う心理。

はいはい、これはよぉぉ〜く分かります(笑)
実際、画面に出てくるワンコちゃん達を見ていても
膝の上に座っているウチのワンコの方が断然可愛いと思うもの。

ウチの子がハリウッドスターレベルなら、
他のワンコはスーパーのチラシのモデル並みですわ(笑)

オムニバスの構成も良く、
初めは笑いながら画面にひきつけられ、
ラストはしんみりと、そしてあったかい涙で包まれる。

犬を飼ったことのある人、
あるいは犬好きにはたまらない作品


犬を飼ったことがなくても、
この作品を観れば、きっと飼いたくなるかも!
心暖まる素敵なオムニバス作品。
ただし犬嫌いには、どうだか分からないが・・・(笑)
1954年・日
監督/本多 猪四郎
出演/宝田 明

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水爆実験で生活の場を乱されたゴジラは
地上に現われ、東京に上陸する。
水爆でも死ななかったゴジラに
人類はどうやって立ち向かうのか・・・?
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今から50年も前の1954年に作られた作品。
実はちゃんと観るのはこれが初めてだ。

戦後わずか9年後に作られたことに
驚きを隠せない圧倒的パワー。
そしてまた、戦後9年後に作られたことにこの作品の重さを知る。


日本の特撮は『ハワイ・マレー沖海戦』でも確認したが
戦中からも素晴らしいものがあった。
しかし終戦後、ドンゾコの中から再びこれほどのスケール感のある
特撮が撮れたことに感動を覚える。

威圧感があり迫力のあるゴジラ。
白黒のせいもあるだろうが、やたらと怖い。

蛍風が知っているゴジラは、すでにヒーローで
ショーアップされたものだったから
本作品の得体の知れないゴジラに圧倒される。
ゴジラ側から描かれることのないストーリーのため
ゴジラにシンパシーを感じることなどない。

ゴジラという存在はあたかも天罰のように街を破壊していく。

得体の知れない天罰のような巨大な恐怖の存在ゴジラに
人々は逃げ惑いながらも、その存在を受けとめ
そして立ち向かうのだった。

実況放送のアナウンサーがゴジラが目前に迫りながらも
逃げ出さずに最後まで放送を続けるシーンに
戦中・戦後を生きぬいた人々の強さと使命感の強さ、誇りを感じる。

避難する人々が荷車だか大八車だかに
箪笥や戸棚を乗せて逃げる姿に時代を感じた。
今だったら箪笥持ち出して逃げたりしないよね・・・。

鉄塔・山・ビルとゴジラ

山の上から顔を出したゴジラが
鉄塔と同じ大きさで、ビルとも同じ大きさ
なんかゴジラの大きさが対象物と比べると
一定ではないと分かるがそれはご愛敬。
あくまでの「画」としての迫力を優先したのだろう。
でもヘソまがりな蛍風は、
比率の違うゴジラにニヤリとしてしまった(笑)

決して子供向けの怪獣映画ではない。
ハリウッドのようなモンスター・パニック映画でもない。
『ゴジラ』は、反核と平和への願いが込められた
非常に重いテーマを持った作品だった


まさに日本を代表する作品、名作。
「喜びマーク」作品ですな。
2004年・日
監督/星 護
出演/役所 広司
   稲垣 吾郎

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昭和15年の東京。
庶民の娯楽の芝居にも戦争の影響で
検閲を通った台本しか上演を許されなかった。
検閲を担当する向坂はこれまで1度も笑ったことのない堅物。
そんな向坂と対称的に常に笑いを考える
座付き作家の椿は1つの台本の検閲をめぐり・・・
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三谷幸喜の舞台劇を映画化した作品。

堅物の検閲官・向坂役が役所広司
座付き作家・椿役が稲垣吾郎

融通のきかないカタブツ向坂の無理難題を
知恵と発想で更に面白い台本に仕上げていく椿。

この対称的な2人を役所と吾郎ちゃんが
息の合った演技でテンポよくみせてくれる。

モトが舞台劇ということもあり
舞台を意識したかのような場面構成に
映画を見ながらも舞台を想像してしまう。

大爆笑という笑いではないが
ププッ、くくっと思わずもれてしまうヒネリのある笑い。

役所と吾郎ちゃんというキャスティング
脚本
構成
映画を見ながらも舞台も観て見たいと思わせる仕上がり


良く出来た良質な作品。
1942年・日
監督/山本 嘉次郎
出演/中村 彰
   大河内 伝次郎

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大友少年は少年航空兵になり
飛行機に乗りたいと考えていた。
そして予科練に入隊し、猛訓練に耐えるのだった・・・
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海軍省が開戦1周年を記念して作った作品。

冒頭には
1億で支えよ(だったかな?)、誉の人と家 
と出てくる。

誉の人とは戦死者のことかな?
そういえば昔の日本映画で
戦死者、特に特攻隊の家族は一目を置かれ
未亡人にちょっかいだすのはご法度みたいなこと
描かれていたのあったな・・・なんの映画だっけ・・・?

大友少年が憧れる海軍兵学校の通う青年が
帰省してくるシーンだが、
同じ海軍省が作った『桃太郎 海の神兵』に雰囲気がとても似ている。
やはり当時は、兵隊さんが帰ってくると
子供たちは憧れと尊敬の念でいっぱいだったのだろう。

大友少年と兵学校の青年は一緒に泳ぐ。
もちろん ふんどしだ

日本人はふんどしが良く似合う!!!
昔の日本人はふんどしが良く似合う!!!

戦中ということもあるが、むだな贅肉がついていない身体。
ジムで鍛えました、といういかにもな筋肉質ではなく
むだのない自然に鍛えられた体のライン。
お尻だって丸くキレイで、欧米人に比べて足が短いなんて感じない。

現代の日本人は豊かになった分だけ
ふんどしが似合うひきしまった体を失ってしまったのではないか?

このことを相方に言うと
「この映画観て、そんなこと考えるのはお前だけだよ」
と、言われてしまった(笑)

予科練に入隊した大友少年。
厳しい訓練にも弱音をはかず頑張る。
訓練の内容には相撲やラグビーもあった。
知らなかった・・・。
一日中、体育会系のクラブ活動しているみたいなんだな。

授業では海軍で大切なことは何かと質問される。
大友少年は努力と答える。
しかし、それだけでは不充分だという教官。

海軍では大切なのは
命令に絶対に服従する精神
どんな敵にもひるまぬ攻撃精神
そして努力


自分の国よりも何倍も大きな国力をもつ相手と
戦争してるわけだから
服従精神、攻撃精神が必要だったんだろうな。

今の日本人には無理だな・・・。

真珠湾攻撃シーンだが円谷英二が担当

これがスゴイ。
60年後に作られたマイケル・ベイの
『パール・ハーバー』に負けていない。
むしろ白黒の分だけ、こちらのほうが迫力がある。
ちなみに戦後、この作品を観た米軍は実写かと思ったそうだ。

マレー沖海戦のほうは、なんだか淡々と進んでいく。
真珠湾だけで終わらせても良かったと思うのだが、
マレー沖海戦は日本にとって英艦隊に大勝利した戦いだから
はずすわけにはいかなかったのかもしれない。

開戦1周年、国威昂揚のために作られた作品だが
前半は予科練の猛訓練を描き
後半、戦争になるとニュース映画みたいに淡々と進んでいく。

戦争を知らない世代の蛍風には
これでどうして国威昂揚なのかちょっと分からない。

最後には実写だろうか?
軍艦マーチが流れる中、戦艦が大砲をうつシーンが。
長門かな?陸奥かな?その辺の戦艦が黒鉛あげて砲撃する。
撃ったあとは反動で揺れる。

現在はミサイル撃つと白い煙だよね?プシュ〜ッって音で。
昔がドドゴォォォ〜ンと黒鉛あげての発射。
これは迫力があった。

それからまだ驚いた事がある。
それは普通なら出演者や監督の名前が冒頭かラストで出るものだが
この作品にはなかった。

そんなワケでどんな名前の俳優が出ているのか分からない。
原節子や大河内伝次郎、藤田進くらいしか分からなかった。
それとも本当はあったけど、カットされたのかしらん・・・?

ふんどしや円谷の特撮
戦中の日本人の意識
いろいろなことを考えさせられた作品

2004年・日
監督/落合 正幸
出演/佐藤 浩市

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経営難の病院。
人手も備品も足りない状態で
仕事に追われる医師や看護士。
ある日、医療ミスが起こり入院患者が死亡してしまう。
医師の秋葉、魚住、看護士達は隠蔽を図る。
そんな時、奇妙な症状の救急患者が運び込まれ・・・
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Jホラー第1弾の作品らしい。

経営難で人手が足りなく
ナースコールしても看護士が来てくれない。
入院患者も少なく、ベットが多数空いている状態。
建物も老朽化し、寂しい感じのする病院。

やだな〜、こんな病院・・・。

人手不足で疲労がたまっている医師・看護士。
そんな中で医療ミスが起こり患者が死亡してしまう。

このことがバレると経営難の病院が
ますます苦しくなる。
そこで事故の隠蔽工作をするのだった。

ただでさえあわただしい状況にも関わらず
救急隊員が救急患者を押し付けるように置いていく。

まあ、ここまではなかなか緊張感があり
佐藤浩市、高嶋政伸の熱演で「いい感じ」がしたのだが・・・

救急患者の「緑色」のドロ〜ッが出てきてから
バカチンになりそうなイヤな予感が・・・(笑)


ホラーというより細菌パニック映画かしらん?
そんなことを考えながら観続けたのだが・・・

これはオカルト・心霊的なホラーではないね。
心にやましい事を持った人々が集団ヒステリー状態になる。
そんな病院に当たってしまったら恐怖だね、って感じ。

怖くてキャ〜ッと叫ぶほどのことはない。
むしろ緑色のドロドロに苦笑してしまう


経営難で人手も備品も足りない病院。そして医療ミス。
出会い頭の事故のように、
そんな病院に当たる可能性もあるかもしれない。
そんな、ちょっと身近に起こりうるかもしれない不安・恐怖。
そういうことかな・・・?
2004年・日
監督/羽住 英一郎
出演/伊藤 英明

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海上保安官の仙崎大輔は
潜水士の資格を取るために
潜水技術過程研修を受ける。
大輔は研修で教官から落ちこぼれの工藤と
コンビを組まされるのだった・・・
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原作のマンガが面白かった記憶があったし、
海上保安庁全面協力ということで
巡視船や高速艇がビシバシでてくるのかと思い
かなり期待したんだけど・・・。

う〜ん、これはマンガとは別モノだな・・・

本作品では伊藤英明扮する仙崎大輔が潜水士になりたい動機として
「船上はつまらなかったから」と言ってるが
原作では確か船内に取り残された少年を
自分で助け出すことが出来ず
ただ声をかけて励ますことしかできなかったもどかしさと悔しさが
潜水士になりたいと思うきっかけになったはずだったような・・・。

それに伊藤英明、悪くはないけど、
原作の仙崎とはルックスもイメージも違和感が。
原作はもっと少年っぽかったような・・・。

訓練の厳しさや努力を期待して観たのだが、
愛だの恋だの、甘っちょろい部分が多過ぎる。
訓練仲間が死亡する事故も、原作とは大きく違う。

それでもマンガより素晴らしい点もある。
それは海中シーンの素晴らしさ。
全員で海中を泳ぐシーンはとても美しく、感動すら覚える。

厳しい訓練
鬼教官
仲間の死
訓練地で知り合った女の子とのロマンス


どこか『愛と青春の旅立ち』を彷彿とさせる要素
・・ということは『愛と青春・・』はスタンダードだということか?

訓練シーンに果敢に挑戦したキャスト達の努力は素晴らしい。
厳しい訓練の中で芽生える信頼と友情とそして愛。
いわゆる青春モノに仕上がっている作品。

ただ、物語の面白さという点からいうと
マンガのほうが断然面白いと思うのだが・・・。
2004年・日
監督/鈴木 雅之
出演/香取 慎吾

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伊賀の里で修行に励む服部カンゾウは
父から最後の修行を命じられる。
それは東京へ行き、運命の主を見つけその者を守ること。
東京にやってきたカンゾウは、気弱な少年・ケンイチと出会う・・・
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忍者ハットリくん〜?
なんで今更映画化、しかも実写〜?
どうせお子ちゃま向けでしょ〜?

なんてタカをくくっておりましたが・・・

いや〜、冒頭の修行シーンやラストの敵との戦い
まさに忍者映画って感じで、面白い、迫力あり!
忍者というよりハリウッドの「ニンジャ」のほうを
観る機会が多かったので、これぞ忍者という感じで満足しました。

お笑いならともかく、アクションなら
ニンジャよりも忍者のほうがやっぱり面白いね〜(笑)


漫画のハットリくんとは多少違い、
コミカルな部分が目立つ本作品のハットリ君だが、
いざ戦いのシーンになれば、
やる時はやりますって感じで、たのもしい。

初めはハットリくんやケムマキが大きくなっていたのには
ちょっと違和感を感じたが
これはこれでいいのだと思う。
漫画とは別モノ、それでいい

掟だから守るのではない
自分で掟を守ると決めたから守るのだ


ん〜、なかなか良い言葉ですな。

コミカルな部分に多少辟易する部分もあるが、
アクションあり、友情あり、とファミリーで楽しめる作品。
何よりも服部くんの父役で
伊東四郎が「にんにん♪」と言ってくれたのが
個人的には1番嬉しかった作品(笑)
1966年・日
監督/山本 薩夫
出演/田宮 二郎

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浪速大学医学部第一外科の教授・東が
定年を迎えようとし
次期教授の座を助教授・財前が狙っていたが
財前のワンマンぶりを嫌う東は、
後任を別の大学から迎えようと画策し・・・
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TVの唐沢版は時々チラッと観ていた程度の蛍風。

全部ちゃんと観たワケではないので良く分からないが、
TV版の唐沢演じる財前は悪党というより小悪党
印象だったのに対し
本作品の田宮は、
権力欲のとりつかれた感情も弱みもない超野心的な男
という印象。

東役は黄門様こと東野英治郎
この東が退官後も自分の権力を保つために
言いなりにならない財前の代わりに
よそから教授を迎えようと画策する。

黄門様とはまったく違ったワルな役に
迫力と威厳を持って演じた東野英二郎

素晴らしいの一言。

小心者の蛍風だったら、
とてもじゃないけど黄門さまには逆らえません(笑)

医者というよりも政治劇といってもいいような
それぞれの画策ぶりにハマってしまった。
唐沢版と違って女の戦いがなかったのが残念だが、
それにしても見応えのある作品だった。

喜びマークです。
2003年・日
監督/清水 崇
出演/酒井 法子

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京子はホラークィーンの異名を持つ女優。
収録を終え、婚約者とともに車で帰宅中に
事故にあい、婚約者は意識不明、
京子もお腹の子を流産してしまい・・・
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今回はホラークィーンの異名を持つ女優・京子役に
のりピーこと酒井法子。
ありゃりゃ、のりピーも妊婦役やるようになったのか・・・。
この間まで「マンモスうれピー♪」ってやってたのが
嘘のようだ・・・(笑)

で、今回一番衝撃を受けたのがこの、のりピーの出産シーン。
お腹から出てきたものに、医師達は皆恐れおののき倒れていく。
そして気づくと、皆死んでいる。
やだな〜・・・何時間も股広げたままで放置されるのって・・・(笑)

正直言って、前作ほどのインパクトはない。
前作では構成の巧みさに感心したが、
今回は時間軸がかなり交差して、
凝り過ぎたような感じ。

最後まで観て、やっと「あ〜そういうことか」となるのだが
狐につままれたような、なんだかすっきりしない・・・。

ハリウッド版ではどうなるのかしらん・・・?
1973年・日
監督/深作 欣二
出演/菅原 文太
   北大路 欣也

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終戦後の広島では村岡と大友が対立していた。
仮出所していた山中は
食堂できっぷのいい女・靖子と知り合う。
靖子は村岡組の組長の姪だった。
そして山中は村岡組の一員となる。
一方大友組の息子・勝利は父と反目し
新たに大友組を結成し・・・
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まだまだワイルドな気分に浸りたくて選んだ作品。
前作には強い衝撃を受け、
本作品も文ちゃんがどんなことをしてくれるのか
期待していたのだが・・・

あら・・?文ちゃん、出番少ないわ・・・。
文ちゃんシーンは3日間くらいで撮影が終わったのでは?(笑)

文ちゃんの出番が少ないにも関わらず、
やはり面白いこの作品!
今回は北大路欣也と千葉真一が魅せてくれる!!!

千葉ちゃんは文ちゃん同様に
「何をやっても千葉ちゃん」な印象があったのだが、
本作品の千葉ちゃんは「おぉ〜演技してるよ!」と
惚れ惚れするような役のハマリ方。
巻き舌のチンピラぶりが威勢がよくてGOOD!

北大路欣也も愛と仁義に振りまわされがら
切ない哀愁漂う役。

人物像が魅力的なだけでなく、
構成と時代背景が面白い


競輪場の警備を独占している村岡組。
競輪場のしかも警備担当をヤクザがやる。
警察は「お前達にまかすから面倒は起こすなよ」
そんな時代。

『男はつらいよ』の前田吟や拓ぼんこと川谷拓三など、
蛍風の中ではヤクザ映画とは無縁な印象の人々も
強烈な光りを放って出演。
特に川谷拓三の演じる役の末路が・・・
うわわ〜バイオレンスだわ〜〜〜

前作とはあまり関係のないようなストーリーで
スピンオフかしらと思うのだが
文ちゃんがあまり出演していなくても
やはり面白かった作品!満足しました!
2001年・日
監督/佐々木 浩久
出演/小沢 仁志

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戦後の混乱期、あまりの凄まじさ故「鬼」と呼ばれた
伝説の極道・鳴尾隆二。
服役中、自分の裏切った者達への
怨念を抱いたまま謎の死を遂げた。
そんな鳴尾の墓に、鉄砲玉として使い捨てられた
気弱なヤクザの死体が埋められ、
鳴尾の魂は、彼の死体に乗り移るのだった・・・
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極道がゾンビとなって暴れまわるおハナシ

ゾンビも極道もどっちもカンベン!ってな取りあわせですな。

主演は小沢仁志。

小沢仁志といえば、蛍風の中では
どうやっても高校生には見えなかった『スクール・ウォーズ』が
真っ先に思い浮かぶ。
いや〜、あれはキョーレツでしたわ(笑)

で、「実録外伝」ってなんざんしょ・・・?(笑)
極道がゾンビとなって暴れまわる事件なんて知らないよ。
つまり「外伝」ってとこがミソなんですかね?(笑)

小沢仁志は確かに頑張っているのが伝わる。

だらだら〜カクカク〜ッとしたゾンビ動き
だけど殺しはやけに早い(笑)

ゾンビとなっても神棚に手を合わせる律儀な極道(笑)

シニカルな笑い、ウケ狙いは分かるのだが、
他の役者が巻き舌で大声でわめきちらしているだけの感じ。

これはこれで良いのかもしれないが、
『仁義なき戦い』を観た後では、
その格の違いに笑うこともできない。
別な時に観れば、もしかしたら楽しめたのかもしれないが。
1973年・日
監督/深作 欣二
出演/菅原 文太

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終戦直後の呉市。
広能昌三は、その度胸の良さをかわれて
山守組に身をよせることになる。
昌三は敵対する土居組の組長を殺すが
その頃から山守組長に煙たがられる存在となり・・・
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子供の頃、この作品を観て
ちっとも面白いとは感じなかったのだが・・・

今観ると、鳥肌が立つくらい面白い!!!

画面がチャカチャカ動いて、多少観づらい感はあるものの
これがこの作品のスタイルなのかも知れない。

音楽がGOOD!
最近ではバラエティーなどでも良く使われるこの曲
♪ちゃりら〜ちゃりら〜ん デンゲデンゲ・・・
燃えますわ〜!(笑)

キャストがGOOD!
昌三役の文ちゃんが、サイコーにシビレるのだ〜
現在では他界してしまった懐かしい役者の顔。
現在では重鎮となった役者の若い顔。
それはそれは豪華な顔ぶれが
惜しげもなく殺されていく。

1作目から、こんなに有名役者を殺してしまって
大丈夫なんだろうか?(笑)


プロットがしっかりしているのか
観ていて面白い展開。

終戦直後は米兵が幅を利かせていて
日本の警察(まだそう呼ばないのかな?)が
米兵の悪行に強く言えなかった時代、
代わってヤクザが立ち向かう。

終戦の混乱の中、闇市に象徴されるように
一般市民はたくましかったんだ・・・。

子供の頃は罵声と暴力だけの
怖い人達の映画としか感じなかったが
今観ると、人間のたくましさ、生命力が感じられる。

登場人物が多いため、なかなか役名が覚えられないものの
圧倒的パワーでひきこまれてしまった作品。
面白かったデス。

まぐれさんだったら、もっと詳しく説明できるんだろうな・・・。

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