2005年・仏
監督/ジャック・オディアール
出演/ロマン・デュリス

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不動産ブローカーのトム。
金になるなら暴力もいとわない
裏社会に生きる彼が
一度はあきらめたピアニストになる夢を
追うことを願うのだが・・・
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トムは金になるなら暴力をふるうことをいとわない。
住人を立ち退かせるために電気・水道を止めるのはもちろんのこと
人が住めないように部屋を破壊したりする。

そんな裏社会に生きるトムだが、
ピアニストだった亡き母のマネージャーと再会したことから、
彼の勧めでオーディションを受けることにする。

裏家業とピアニスト。
現実と夢。


28歳というトムの年齢は、
まさに微妙な年頃なのだ。

いつまでも夢をみている年でもない。
しかし、再出発するにはギリギリの年齢だ。

夢を追うか、あきらめて現実に生きるか。
喜びと希望あふれる生活か、惨めでやるせない生活か。

揺れ動くトムをロマン・デュリスが好演。
トムにピアノレッスンをする中国人ミャオ=リン役が
リン=ダン・ファン
なんと!『インドシナ』のリンですか?!
久しぶりに見た、というか、
『インドシナ』以来初めて観たような気がする。
それ以外にも『サム・サフィ』のオーレ・アッテカも出演。

んーっ懐かしい2人だな・・・。

真夜中にピアノを練習するトムの姿は
現実か夢かで揺れ動く心を象徴するかのように
苦しく切なくもどかしい。

夢か現実か、再出発か。
28歳というギリギリのところで選択にあえぐ青春のもどかしさ。


暴力と優雅さの2つを表現できるロマン・デュラスだからこそ
成立した作品であろう。
邦題のセンスの良さも評価したい。

久しぶりに心をわしづかみされました。
「喜び」マーク作品です。

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