1946年・米
監督/ウィリアム・ワイラー
出演/フレデリック・マーチ

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第二次世界大戦が終わり、
同じ輸送機で故郷に帰還した
フレッド、アル、ホーマーの3人。
しかし、戦争で負った心と体の傷は、
彼等に微妙な変化をもたらしていたのだった・・・
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爆撃機の大尉だったフレッド。
歩兵の軍曹だったアル。
海軍兵だったホーマー。

フレッドは、有意義な仕事をしたいと思いながらも
元の職場の薬局でソーダー売り。
アルも以前勤めていた銀行の要職につく。
戦争中、両手をなくし、鉤の義手をはめたホーマーは、
戦争が終わったら恋人ウィルマと結婚の話があったが、
自分の体にひけめを感じ、ウィルマと距離をおこうとしていた。

戦勝国のアメリカが、終戦後に味わった苦悩が描かれている。

軍隊では大尉だったフレッドだが、不景気のため、
不本意ながら元の職場で働く。
かつての部下が、いまや上司の環境。

アルは望まれて好待遇で以前勤めていた銀行に復職するが、
戦争中不在にしていた間、子供たちが成長し
どう接したらいいか戸惑う。

義手のホーマーは、周囲の人間が自分を腫れ物を扱うように
接するのに惨めさを感じていた。

戦争はどうだったかと聞かれ
同じような島ばかりを転々としたが硫黄島だけは興奮したという
セリフがあった。
硫黄島の戦いは映画化されているし、
アメリカ人にとって、
硫黄島はなんだかいろいろな意味で特別なものらしい。

軍曹だったアルが息子への土産として
日本刀と寄せ書きされた日の丸をみせるシーン。

軍曹なのに将校の持つ日本刀を持ち帰るのは
やはり戦勝国なのねん。
寄せ書きされた日の丸を得意げに持ち帰るのは
これまたやはり戦勝国なのねん。

・・・なんだか複雑な気持ちになった。

戦争が終わり、プレハブの材料にするため
解体を待つ多数の飛行機のシーンを観た時、
戦争が終わってもまだこれだけの飛行機があったアメリカ。
この物資の豊かさ!これじゃ勝てないなと思った。

1946年に製作された本作品は、
現代の作品に比べれば、真面目でぬるい感じもするが、
アカデミー作品賞をはじめ、数々の部門で受賞。

戦勝国アメリカの苦悩を描き、素直になれない部分もあるが、
ホーマー役のハロルド・ラッセルはスゴイと思う。
彼の演技は当時、傷痍兵に大きな勇気と感動を与えたそうな。

170分もあって、ぬるいと感じる部分もあるが、
毒がたっぷりの現代の作品のほうが異常なのかもね・・・(笑)

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