2001年・独
監督/ハーディ・マーティンス
出演/ベンハルト・ベターマン

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第二次大戦後、ドイツ人将校クレメンス・フォレルは
戦犯としてシベリアの収容所に送られる。
そこは鉄条網も監視搭もない。
なぜなら目の前に広がるには
極寒の厳しい大地。逃げ出せば即、死が待つ。
しかしフォレルは家族との約束を果たすため
1人雪原へと逃げ出すのだった・・・
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実話に基くベストセラー小説の映画化

クリスマスまでには家に帰ると家族に約束し
出兵したクレメンス・フォレル。

しかし戦後、戦犯として収容所に送られることになる。
収容所へと移送される貨車にはストーブが1つだけ。
どこへ向かっているのかも分からないまま、また1人と凍死していく。
そして着いた先は極寒の地、シベリア。

寒風吹きすさぶ中、整列させられるクレメンス達。
1人の若者が私語をして咎められる。
罰として衣服をすべて脱いだ状態で立たされる。
立っているだけでもツライ寒さの中
裸になるということは死を意味する・・・。

ソ連にとってはクレメンス達は1人の人間ではない。
単なる労働力に過ぎない。

ソ連の兵士が言う。
寒さにも良いところがある。それは丈夫な奴だけ生き残る。

劣悪な環境の中、採掘作業に駆り出されるクレメンス達。
しかし収容所内は採掘の影響で、蜘蛛の巣のように鉛の糸が・・・。
収容所にいても労働に耐えきれず死ぬか、中毒で死ぬ。
脱走しても極寒のシベリアを生きて抜ける可能性はほとんどない。
そしてクレメンスはそのわずかな可能性にかけて
脱走を試みるのだった・・・。

空腹と寒さで、見渡す限り雪原の中、
正気を保つの容易でなくなった頃
クレメンスは一本の小さな木をみつける。
それは何も言わない木だが、クレメンスにとっては救いであった。
自分がどこに進んでいるかも分からない吹雪の中、
やっと出会えた「命あるもの」だったのだ・・・。

孤独と寒さ、そしてソ連兵カメリアフ中尉の執拗な追手の中、
シベリアの厳しい大自然と、その土地の暮す人々の善意で
フォレルは家族の待つ祖国を目指すのだった。

戦争が終わってからのシベリア送り。
戦争ってのは、
一旦始めたら勝って終わらなければならないものだと思った。
良い負け方なんてない。負けたら悲惨なんだ・・・。

戦争ドラマとしても面白い。

シベリアの大地を何年もかけて歩き続ける
アドベンチャーとしても面白い。

必死で家族のもとへ帰ろうとする
ヒューマンドラマとしても良い。

そしてフォレルを追い詰めるカメリアフ中尉との
サスペンスとしても面白い。

様々な要素が無理なく調和し、作品に惹きこまれる

クレメンス・フォレル役のベンハルト・ベターマンの熱演
そして、カメリアフ中尉役の
アナトリー・ヴラディミロヴィチェ・コテニョフ(・・長い)
迫力ある演技!

ロケーション・脚本・キャスト・監督
すべてにおいて大満足の作品

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