2001年・独/英
監督/ヴェルナー・ヘルツォーク
出演/ティム・ロス
   ヨウコ・アホラ

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ポーランドの小さな町のユダヤ人鍛冶屋ジシェは
サーカスの力持ちを倒したことでベルリンにスカウトされた。
時は1932年。ナチスが台頭しはじめ、
ユダヤ人は白眼視されていた。
ジシェの雇い主ハヌッセンは千里眼で人気で
ナチスの幹部とも親しかった・・・
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実在の人物ジシェとハヌッセン。

善良で力持ちだが口下手なジシェ。
人を操るのが上手いハヌッセンは
千里眼でナチスお気に入りの予言者。

対極にある2人。

ジシェを演じるヨウコ・アホラは力持ちコンテストの優勝者で
演技はこれが初めてらしい。
それがかえって、ボクトツとしたいい雰囲気をだしている。

ハヌッセンの劇場でナチの観客を前に上半身をあらわにするジシェ。
その見事な筋肉に「おぉ〜っ」と歓声をあげる観客。
ナチはモーホーが多かったというのは本当だろうか?
確かにジシェの身体はスゴイが、深読みさせられるシーンだ(笑)

巧妙に言葉を操る予言者ハヌッセンにはティム・ロス。
胡散臭く、権力欲にとりつかれた感じがお見事。
ヒトラーお気に入りの千里眼として初代オカルト省の大臣の座を狙う。

でもオカルト省ってなんだ?(笑)

まぁヒトラーに限らず権力者というものは占いが好きだったりする。
何代か前のアメリカ大統領の奥さんだってお抱えの占い師がいて
それが話題になってたりしたもんなぁ・・・。

神から与えられた肉体と力。
自分に課せられた使命を模索するジシェ。

自分の言葉だけを武器に生きぬいてきたハヌッセン。
彼のどんな時でも優雅でありたいという言葉は
這いあがってきた男の悲しい心の叫びだ。

第1次世界大戦で負けたドイツが
徐々に頭角をあらわし始めた頃。
世界は、ポーランドは、そしてユダヤ人は
ナチスをどう見ていたかが描かれており、
なかなか興味深い。

ジシェ演じるヨウコ・アホラのパワー
ハヌッセン演じるティム・ロスのオーラ

この2人のキャスティングが当たった作品。
地味ではあるが、ひきつけられた作品。

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