2000年・仏
監督/ジャン・ピエール・シナピ
出演/ナディア・カッチ

============================================
糖尿病と筋ジストロフィーで体の自由がきかないルネ。
入所している身体障害者施設で、
悪態をついては、いつも単独行動をしている。
誰にも心を開かないルネだったが、
新しい看護人ジュリには心を開いた。
そしてルネがジュリに頼んだ。
「娼婦のところへ連れていって欲しい」と・・・。
============================================

実話をもとに作られた作品。
タイトルは、国道7号線の近くに、その施設があることからつけられた。

車椅子生活のルネは、すべてにおいて悪態をつく問題児。
誰にも心を開かないルネ。
それは新しい看護人ジュリに対してもそうだった。

しかし、買い物に外出した際、血糖値が下がってもうろうとするルネを
必死で助けようとしたジュリに心を開くようになる。

そして彼はジュリだけに告白した。
「健常者とセックスがしたい。娼婦の所へ連れていってくれ」

ルネを娼婦のところへ連れていけば、
売春ほう助罪に問われる可能性があることから、尻ごみするスタッフ。

そんな中でジュリだけは、ルネの希望を叶えるべく
車椅子でも入れる娼婦を探す。

心がチクチク痛む作品。
体の自由がきかない苛立ちを、周囲にぶつけるルネ。
そんなルネに、怒りを感じ態度で現す看護スタッフ。

人は障害者あるいは看護を必要とする人間に、
優しく手を差し伸べるのは当たり前。
そして感謝されるのも当たり前だと奢る気持ちが
どこかにあるのではないだろうか?

しかし介護は肉体面においても精神面においても
キレイごとだけではすまない部分が現実にはある。

はじめは本当に手助けをしたいと思って始めたことも
辛らつな態度を返されれば
「なによ、あんたのために『やってあげてる』のに」と
思ってしまう。
介護する側もされる側も余裕や遠慮がなくなってくる。

介護を必要とする者だって、生きている人間だ。
性欲があるのは当然だ。
しかし、それはどこかでタブーとされてはいないだろうか?

本作品は障害者の介護だが、老人介護経験のある蛍風は
とても身につまされた。
蛍風にとって、介護は終わった問題ではない。
これから先も出てくるであろう問題だ。
考えていると胸がチクチクする。
最後まで、心に余裕を持って介護することができるだろうか?ふぅ・・・。

世間ではタブーとされているこの問題を
本作品は、笑いと涙を交えて展開していく。
ラストもなかなか凝っていて「おっしゃれー」である。

世間一般が抱く障害者への先入観をチクリと風刺。
なかなかに考えさせられた作品。

コメント