2000年・米
監督/ユレク・ボガエヴィッチ
出演/ハーレイ・ジョエル・オスメント

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1942年ナチス占領下のポーランド。
ロメックの父はユダヤ人狩りから息子を守るために
ポーランド人グニチオにロメックを託す。
グニチオには2人の息子ヴラデックとトロがいた。
ユダヤ人であることを必死で隠しながら
ロメックはヴラデック・トロと次第に友情を深めて行く・・・
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ハーレイ君はもちろんのこと、子役達がみんな上手い!!!
役柄的にトロ役のリアム・ヘスが目立つのは当然だが
ロトの兄・ヴラデック役のリチャード・バーネルも微妙な心情を見事に表現。

子役だけじゃないグニチオ役のオラフ・ルバスゼンゴもスゴイ。
この人はポーランドの役者さんだとか。
初めてみたけど、この人の出演作をもっと見たくなった。
神父役のウィレム・デフォーも、
でしゃばり過ぎず子供達のひき立て役に徹している。

ユダヤ人であることを隠すために、
ロメックの父は息子にカトリックの教義を教える。
生き延びるために両親と離れ、必死で素性を隠して生活するロメック。
それを暖かく見守るグニチオや神父。

洗礼式に向けて神父は子供達にキリストと12使徒の役柄を与え
キリスト教を理解させようとする。
キリスト役になったトロの奇行はここから始まる。
死を目の当たりにした事で純粋なトロは、
平和のために殉教したキリストに深く傾倒する。
キリストのように、イバラの冠を被り木に張りつけて欲しいと懇願する。
そこには失った人々を取り戻したいという無垢で
まっすぐな情熱が存在する。

トロはあまりにも純粋でまっすぐなのだ。
ラスト、トロがとった行動はどう解釈したらいいのだろうか?

兄ブラデックとロメックに対する失望からなのか?
そうなら、まがったことを許せない純粋な
子供らしい行動なのかもしれない。

それともヴラデックとロメックの罪を、キリストが人々の罪を背負ったように
自分が背負おうと思ったのか?
キリストになって平和を取り戻したいと願ったトロらしい行動かもしれない。

占領下の暗く緊張した中での生活。
しかし子供らしい、のびのびとした部分も描かれている。

両親の部屋から夜な夜な聞こえてくる母の喘ぎ声を
トロは悪夢にうなされていると考えている。
「あぁ〜やめて〜いや〜もっとぉぉ〜ん」
今日のママはいつもより怖い夢を見てるんだと得意げに説明するトロ。
いや〜、喘ぎ声=怖い夢は新しい説ですな。これは使える(笑)
・・・って使う機会があるのか?!(笑)

戦争がもたらす狂気の中で必死に生きる子供達。
やるせない状況下で行動を決定するのは年齢ではない。
パニックになる大人達、信念を貫く子供達。
深く深く考えさせられる作品。

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