2001年・米
監督/チェン・カイコー
出演/ヘザー・グラハム
   ジョセフ・ファインズ

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アリスは出勤途中の交差点で偶然視線を交わしたアダムに惹かれる。
穏やかな恋人との暮しを捨て、アダムとの生活を始める。
そんなアリスのもとに1通の差出人不明の手紙が届く・・・
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初めはSEXに溺れたバカカップルの話だと思った。
話が中盤にかかる頃には、「あぁ、イカレた男の話なのか」と思った。
ラストでは愚かな女の話だと思った。

しかし、しかし、観終わってしばらくたった今の感想は
心にど〜んと重いものがのしかかる感じ。
水面に重い石を投げられ波紋が広がる感じだ。
こういう愛もありなんだなって・・・。

自分の好きな人が、自分を好きになってくれて、
そして結ばれ、幸せになるのはすごい奇跡なんだ。
大勢の人間の中からたった1人を選び、選ばれ結ばれる、
人口からしてすごい確率ではないか?
その上幸せに末永く添い遂げることの難しさ。

人の心はモロイ。
一旦疑惑と恐怖を感じてしまうと、夢中で愛を傾けていた相手ですら
距離をおいてしまう。心のすれ違いを感じてしまう。
トコトン一生添い遂げるのは、難しいことではないのかと思ってしまう。
しかし、人間だけでなく動物だってその難しいことを
やってのけているのだから、
命あるものはとても強いものだと思わずにはいられない。

生まれ育った環境の違いが、愛し合う二人の関係に
影を落とすこともある。、
登山家のアダムには、ロープは大事な命を守るものでもある。
しかし普通のOLアリスには、人を縛り上げる道具でしかない。
登山家のアダムには、過去の女性は一緒に登山し、
命綱を共有した仲間であるが、
アリスには、邪魔になった過去の存在としか思えない。

観終わって時間が経つにつれ、いろいろなことを考えてしまう。

この作品の目玉として宣伝しているSMプレイだが、
カイコーらしく耽美で美しい。
・・・美しいんだけど、延々と続くセックスシーンを見ていると
マヌケに見えてきて笑ってしまう。
美男美女でもセックスする時は、潰れたヒキガエルみたいなんだもん(笑)
そういえば『ドグマ』で人がセックスする時
変な顔になるのは神様のユーモアだって台詞があったっけ。
変な顔して潰れたヒキガエルみたいな格好・・・。
やっぱマヌケだよなぁ〜。

そんなマヌケな姿がいっぱい詰まったAVを
世の男性はせっせとレンタルしていくんだから、これまた変な感じだ。
笑いころげたりしないのだろうか?

本作品はエロティック・サスペンスとなっているが、
サスペンスとしては、素直で物足りない。
犯人が誰なのか注意深く観ていれば簡単に分かってしまう。
エロティックとしては、ムンムンした感じではなく
ゲージュツ的に耽美な映像。

普通にハッピーな時に観れば「な〜んだ」程度の感想。
人間関係、愛についてふと立ち止まった時に観れば
描かれている以上のことを考えさせれる作品。

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