2001年・米
監督/ラッセ・ハルストレム
出演/ケビン・スペイシー

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クオイルは子供の頃、父親から泳ぎを覚えさせるために
水に落とされたことがトラウマとなり、自分に自信が持てずにいた。
あるとき奔放な女性ペタルと出会い、結婚するが、
彼女は母の役割を放棄して家を飛び出し、事故死する。
そして娘のバニーと叔母とともに祖先の地、
ニューファンドランド島へ移り住むことになり・・・
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自分に自信の持てないクオイル。
そのことから、他人に対して強く言えないクオイル。
おどおどして弱気な夫に、自由奔放なペタルはやりたい放題。
そんな時両親の死の知らせが届き、父方の叔母がやってくる。
同時に愛想を尽かしたペタルは家を出て、男のところに行く途中
交通事故死してしまう。娘のバニーを助手席に乗せたまま・・・。
そしてクオイルは環境を変えようと、祖先の地ニューファンドランド島へ行く。
そこは5月でも雪のある、寒く厳しい土地だった。

厳しい自然の中で、人は独りでは生きていけない。
ケビン・スぺイシー演じるクオイルは、
初め弱々しく情けない男なのだが、
島の厳しい自然に揉まれ、磨かれ、
島の人間達と関わることにより、
彼が本来持っていた強さ、誇りが現れてくる。

楽で快適な生活が本当に人間のためになっているのだろうか?
ネオンで明るい夜空を見上げて、
こんな夜中でも店が開いてて便利だなと普段なら思うところなのだが、
明る過ぎて星がよく見えない事に気づく。
星が見えないほどの明るい夜空。
快適な文明というネオンの灯りで
人は本来のあるべき姿という星を見失ってはいないだろうか?
人間は自然の一部だということを忘れてはいないだろうか?

本作品は、派手な展開がなく
見ている時は淡々とした感じ。
しかし、観終わった後にどっともろもろの感情が
不意に襲ってくる。

島の厳しい自然が郷愁を誘う。
昔の人間が暮していた本来の人のあり方を示しているようでもある。
音楽もGOOD。
キャストの演技も素晴らしい。

人生ってなんだろう。
自分は本当にこれでいいのだろうか?
これが本来自分が生まれ持った姿なのだろうか?

心に深く重く響く優れた作品。

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